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1月の統計分析。マレーシア向け中古車輸出が360%急増した背景を徹底分析

2024年12月から2025年1月にかけて、日本からマレーシアへの中古車輸出台数が急増し、前年同時期比で360.7%もの成長を記録しました。この驚異的な伸びの背景には、政府の規制緩和、経済環境の安定、物流の最適化、そして国内需要の変化が深く関係しています。本記事では、最新の政府発表や業界レポート、経済データを基に、その主要要因を詳細に分析します。


 

1月の中古車輸出台数

1月の中古車輸出増減割合

 

1. 輸入許可証(AP)の発給拡大

2024年7月以降の具体的な変更点

マレーシア政府は2024年7月1日から、中古車輸入に関するオープンAP(Approved Permit: AP)の発給要件を大幅に緩和しました。この変更により、従来の厳格な制限が緩和され、より多くのブミプトラ(マレー系住民主体の企業)が中古車輸入業に参入できるようになりました。

  • 従来の要件:中古車輸入は限られた業者のみに許可されていた

  • 新方針:100%ブミプトラ資本で設立2年以上、資本金100万リンギ以上の企業であれば、新規AP申請が可能


新規参入企業の数と市場シェアの変化

この変更により、AP保有企業数は約100社から300社に急増しました。これは中古車輸入ビジネスの新規参入が急増し、競争が活発化したことを意味します。

  • 2023年の新車販売台数:72万5千台

  • 2023年のオープンAP中古車輸入台数:約5万台(市場シェア6.8%)

この新方針の結果、輸入車市場の競争環境が大きく変化し、中古車の輸入が一気に加速しました。


中古車輸出市場への影響

AP発給枠の拡大により、多くの企業が日本などからの中古車輸入に乗り出し、市場競争が一気に活性化しました。業界団体PEKEMAは、政府に対し年間中古車輸入枠(現在3万5千台)の5万台への拡大を要望するなど、市場拡大の動きが加速しています。


結果:2024年末から2025年初にかけて、日本からマレーシア向けの中古車輸出台数が急増。


 

2. 電力料金と経済環境の影響

電力料金据え置きの影響

マレーシア政府は2024年12月に、2025年1月~6月の電力料金を据え置くと決定しました。この決定により、産業界はエネルギーコスト増加のリスクを回避し、経済活動が安定しました。

政府は電気代の据え置きのために約23.88億リンギの補助金を投入し、企業のコスト負担を軽減しました。これにより、自動車関連産業も影響を受け、販売価格の安定に寄与しました。


マレーシアの経済成長と消費支出

  • 2024年第4四半期GDP成長率:5.0%(前年同期比)

  • 2024年通年成長率:5.1%(2023年の3.6%から大幅改善)

家計消費が増加し、所得環境の改善が中古車購入需要を下支えしました。


為替変動の影響

2024年はマレーシア・リンギが日本円に対して約14.7%上昇しました。

  • 2024年初:1リンギ=30.7円

  • 2024年末:1リンギ=35円


結果:円安による日本製中古車の価格競争力向上。輸入業者が積極的に仕入れを拡大。

 

3. 物流インフラと輸送コスト

日本~マレーシア間の輸送費動向

2024年末時点で、日本から東南アジア向けの海上輸送費は落ち着きを見せ、コンテナ運賃も低下しました。

  • 40フィートコンテナ平均運賃(2024年11月):3,331米ドル

  • 原油価格(2024年平均):1バレル=81米ドル


結果:輸送コストの安定により、中古車輸出が活発化。

堺泉北港の機能強化

堺泉北港(大阪府)は、

  • 2023年の中古車輸出台数で全国3位(西日本1位)

  • 新規岸壁整備・倉庫拡張など、輸出対応力を強化

2024年11月にはマレーシア現地で「ポートセールス」を実施し、マレーシア向け中古車輸出の促進を図る動きも見られました。


結果:堺泉北港のハブ機能強化により、安定した中古車輸出が可能に。
 

4. マレーシア国内の市場需要

2024年12月~2025年1月の中古車販売台数の変化

2024年前半は中古車販売が好調でしたが、8月以降は減速。

  • 2024年上期の中古車販売台数:前年同期比で二桁成長

  • 2024年9月以降の販売減少:前月比15%減


ディーラーの販売戦略

  • 在庫積み増し:日本からの輸入を増加

  • 値引きキャンペーン実施:RM10,000の割引など

中国系メーカーの値下げ攻勢電子インボイス制度導入により、販売環境が変化しましたが、中古車市場は総じて堅調な需要を維持


結果:国内需要を見据え、輸入業者が積極的に仕入れを行い、日本からの輸出台数が増加。

 

結論

2024年12月~2025年1月のマレーシア向け中古車輸出台数360.7%増加の背景には、

  1. 輸入許可証(AP)の発給拡大による市場参入の増加

  2. 電力料金据え置きと経済成長による消費意欲の向上

  3. 物流コストの安定と輸送インフラの強化

  4. マレーシア国内の需要増と在庫補充のための積極輸入

これらの要因が複合的に作用し、マレーシア市場における中古車輸入が大幅に増加しました。

引き続き、この市場動向をウォッチし、新たなビジネス機会を見極めていきましょう。


国名

Country name

12月

1月

増減割合

アラブ首長国連邦

UAE

21,079

17,126

-18.8%

ロシア

RUSSIA

11,805

7,710

-34.7%

モンゴル

Mongolia

6,663

6,094

-8.5%

タンザニア

Tanzania

6,689

6,059

-9.4%

マレーシア

MALYSIA

1,247

5,745

360.7%

タイ

Thailand

5,050

3,993

-20.9%

ニュージーランド

NEW ZEALAND

6,800

3,743

-45.0%

フィリピン

PHILIPPINE

3,320

3,672

10.6%

ケニア

KENYA

5,380

3,566

-33.7%

チリ

CHILE

7,310

3,553

-51.4%

南アフリカ共和国

SOUTH AFRICA

6,186

3,428

-44.6%

ミャンマー

Myanmar

3,119

2,306

-26.1%

ウガンダ

Uganda

3,201

1,933

-39.6%

ジャマイカ

JAMAICA

2,648

1,646

-37.8%

ナイジェリア

Nigeria

1,898

1,534

-19.2%

ガイアナ

Guyana

2,407

1,416

-41.2%

バングラデシュ

BANGLADESH

2,235

1,278

-42.8%

コンゴ民主共和国

Democratic Republic of the Congo

1,406

1,092

-22.3%

ザンビア

Zambia

1,349

1,047

-22.4%

英国

United Kingdom

2,042

1,047

-48.7%

アイルランド

Ireland

1,183

1,029

-13.0%

アメリカ合衆国

United states of america

1,521

955

-37.2%

ガーナ

Ghana

1,222

893

-26.9%

ジンバブエ

Zimbabwe

760

747

-1.7%

オーストラリア

AUSTRALIA

1,462

733

-49.9%

ジョージア

Georgia

2,008

714

-64.4%

モザンビーク

Mozambique

992

655

-34.0%

バハマ

Bahamas

610

441

-27.7%

フィジー

Fiji

845

359

-57.5%

シンガポール

SINGAPORE

384

198

-48.4%


Thank you for your continued support of Japan Carrier.


The Japan Carrier Team

 

 

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